主な疾患の治療方針

腰椎分離・すべり症(ようついぶんり・すべりしょう)

腰椎分離症は、脊椎の発育期(小学校高学年から中学生)に主として過度のスポーツによって起こる疲労骨折です。分離すべり症は、さらに椎骨が前方へずれる状態のことを言います。腰痛・下肢痛・下肢しびれなどの症状がときに生じます。成長期と成人期で、治療法が異なりますが、基本的に保存療法を行い、生活に支障をきたすほどの痛みがある場合は、手術療法の適応を積極的に考えます。

発育期の治療

  1. 運動の休止
    原因と思われる過度のスポーツを休止します。
  2. 局所安静
    コルセットを装着し、局所の安静を図ります。
  3. 骨癒合
    コルセットは、3ヶ月間ほど装着して骨癒合を図ります。

保存療法:発育期以外の治療

  1. 日常生活指導
    痛みがある場合は、患部を安静に保ち、状態を見て休養をとるように指導します。症状が安定したら、運動療法・姿勢指導を行います。
  2. 薬物療法
    痛みがある場合は、和らげる薬を処方します。
  3. 装具療法
    日常生活に支障のないコルセットを装着します。
  4. 運動療法
    症状が軽快してきたら、筋力強化訓練や姿勢の指導を行います。
  5. ブロック療法
    痛みを和らげるために、分離部ブロック、仙骨ブロック、神経根ブロック注射などをを行います。

手術療法

  1. 分離部修復術
    分離部に骨を移植してスクリューで固定して、分離部の骨癒合を図ります。
  2. 脊椎固定術
    椎間板が変性している場合、すべりがある場合に椎間間に骨移植を行なって椎体間固定を図ります。